産業廃棄物収集運搬許可の申請を検討されている方へ必要な書類について解説します。
必要な書類
準備が必要な書類は大まかに下記になります。
1.講習会修了証
2.運搬車両の写真(カラー)とその車検証
3.運搬容器等の写真(カラー)
4.事務所、収運車両駐車場の配置図と付近の見取り図
5.駐車場の公図、登記事項証明書、使用承諾書
6.定款及び法人登記事項証明書(法人の場合)
7.役員(法人)、申請者(個人)の住民票と登記されていないことの証明書
8.財務諸表、納税証明書等
9.申請書類
もちろん、それぞれが一枚だけで完結しているわけではありませんので、総合的にみると大体50枚以上くらいにはなります。
また、提出時には正本と副本の2部を準備しなければいけませんので、倍の100枚前後のボリューム感です。
1.講習会修了証
まず、産業廃棄物収集運搬許可の申請をする場合、大前提として日本産業廃棄物処理振興センターの開催する講習を受け、その修了証を交付してもらう必要があります。講習は常に開催されているわけではない上、開催日それぞれに定員があります。その為、会場で受講する場合、思わぬ遠方に出向く必要があるかもしれません。
オンライン受講も可能ですので、まだ未受講の場合は申請書の作成に取り掛かる前に事前準備として必ず受講しておいてください。必要な書類の中には発行してから3カ月以内、など有効期限が設定されている書類がある為、未受講のまま準備を始めると二度手間、三度手間になってしまう可能性があります。
くどいようですが、何よりも「まずは講習の受講が第一」と考えておいてください。
2.運搬車両の写真(カラー)とその車検証
実際に運搬に使用する車両の写真とその車検証ですが、写真はカラーで正面と側面からの2画分を用意してください。
注意点:正面写真はナンバープレートとその記載内容が読み取れるように、側面写真は車体の印字等が読み取れるように撮影する必要があります。またどちらも見切れないように全体を写してください。
(ちなみに写真そのものを申請書に添付するのではなく、申請書に張り付けて提出する為、スマホのカメラで撮ったデータを貼り付ける方法でも大丈夫です。)
車検証については当然、写しで大丈夫ですので、車検証をコピーしておけば大丈夫です。ただし、所有者の名義が法人の場合は法人名義、個人の場合は申請者名義の必要があり、名義人が違う場合は使用承諾書が必要になります。
実際に借用している場合は仕方ないですが、譲り受けて名義変更をしていないような場合は、予め名義変更したうえで車検証をコピーしてください。
3.運搬容器等の写真(カラー)
運搬容器については、扱う産業廃棄物の種類によって変わってきます。
例えば、廃油や汚泥を扱う場合はポリタンクやドラム缶、瓦礫類を扱う場合はフレコンバッグなどです。申請しようとしている取扱廃棄物に適した運搬容器を準備してください。
また、特定の依頼主からの請負のみを想定されていて、容器の貸し出しや支給がある場合でも許可自体は依頼人が申請するわけではなく、想定した依頼人以外からの仕事を受ける可能性もゼロではない為、自社の持ち物として準備が必要です。
写真については車両と同じく申請書に張り付ける為、スマホで撮影して貼り付け方法で大丈夫です。
4.事務所、収運車両駐車場の配置図と付近の見取り図
配置図は主に駐車場の適正確認の為だと思っていますが、あまりにも距離が離れていると不信に思われるかも知れません。
事務所と駐車場が同じ敷地内や同じ町内など近所であれば問題ないですが、車で移動しなければならないほど離れている場合は利便性についての質問などがある可能性はあります。ただ、正当な理由があればそれを理由に許可が下りないということはないと思います。
配置図自体の形式は特に指定されていませんので、CADが得意な方であればCADで作成されても良いですし、定規等を使用して正確な製図が可能であれば手書きでも大丈夫です。(ちなみに私はエクセルで作成しています。)また、配置図には収集運搬に使用する車両を駐車する箇所も明記しておくことと、駐車場の出入り口、接面道路とその広さも取り入れてください。
運搬車両は普通車や軽自動車に比べて大型になりやすく、長期常駐的な路駐などは周辺の方々への迷惑行為になってしまいます。それを予防するため、車体に対して出入りや駐車に不都合のない場を確保してあるかを確認されているのかと。
付近の見取り図については、ゼンリンマップの該当ページのコピーや、グーグルマップなどでも大丈夫ですので、国道や市道など主要道路から駐車場までのルートがわかる範囲が記載されるようにしてください。
5.駐車場の公図、登記事項証明書、使用承諾書
公図と登記事項証明書は法務局で入手できますので、公図と登記事項証明書で所有者を確認したうえで、所有者から使用承諾書にサインをしてもらいます。廃棄物運搬車両には積載している廃棄物による土地汚染の危険性がある為、後々のトラブルを避ける為にも所有者へしっかりと説明し、理解を得るようにしてください。
6.定款及び法人登記事項証明書(法人の場合)
7.役員(法人)、申請者(個人)の住民票と登記されていないことの証明書
6~7については、法人か個人事業主かで準備する内容に違いがあります。ただ、確認内容としてはどちらも同じで、申請された会社や個人は実在するのか、自分の意志で申請をしているのか、これに尽きます。架空の会社や個人をたてての不正な申請を防止するうえでは欠かせない書類で、産業廃棄物収集運搬許可の申請だけでなく、許可申請の際に要求される書類としてはお馴染みの物です。
また、登記されていないことの証明書は身分証明書と混同しがちですが、全く別物になりますので、間違えないように注意が必要です。住民票は市役所又はマイナンバーカードをお持ちであればコンビニでも入手できます。登記されていないことの証明書については法務局で入手できますが、コンビニ発行はできません。
8.財務諸表、納税証明書等
これも申請業務においてはお馴染みの書類です。法人、個人で用意する書類に違いがあるのはもちろん、経営状況や開業年月などでも内容が変わってくるため、詳細についてはここでは割愛します。確認される内容としては、該当の申請を許可した際に、適正、適法な営業が出来るか、という点です。仮に経営状況が芳しくない業者だった場合、許可を利用した不正な営業に手を出して何とか資金繰りをしようとする等、好ましくない状況になる可能性が想定されます。そのようなことにならないよう、許可を出しても大丈夫かどうかの判断基準の一つとなります。
では、仮に直近の経営が赤字だった場合は許可が取れないかと言えば、そうではありません。融資状況やその返済状況、返済計画など、必要な書類を準備して健全な経営力を示すことが出来れば大丈夫です。
9.申請書類
申請書類は県のホームページでダウンロードすることができます。必要な事項を記入して申請窓口へ提出します。
申請時は予め窓口へ電話をして、提出日の予約をする必要がありますので、忘れないようにしてください。特に理由がなければ、申請書類の準備が終わった後でご自身の予定と調整して予約する事をお勧めします。
また、申請に掛かる費用も忘れないようにしてください。(新規申請:81,000円)
申請した後について
書類に不備がなければ許可、不許可の連絡待ちになります。
公表されている標準処理期間(結果がわかるまでの期間)は24日となっていますが、土日、祝日や審査機関の込み具合を考慮すると1.5~2か月程度を想定しておくほうが無難です。また、申請書類に不備があった場合、それを訂正して再提出してからのカウントになりますので注意してください。
お気軽にご相談ください!
以上、産業廃棄物収集運搬許可(積み替え保管なし)の新規申請にかかる書類についてでした。
準備する書類も多く面倒ではありますが、しっかりと準備して取り組めば難しいというわけではない事がご理解いただけたと思います。とは言え、役所に行って書類を集めたりとそれなりに手間がかかることも事実です。「書類を準備する時間が確保できない」などお悩みがありましたら一部の書類収集のみのご依頼もお受けしますので、お気軽にご連絡ください。